●カヴァル小ねた集●
 このコーナーでは、他の記事で取り上げた以外の、カヴァルに関するちょっとした小ねたや素朴な疑問を、Q&Aスタイルで取り上げます。皆さんからのご質問もお待ちしています。

Q1:カヴァルって、本当はどう発音するの?
A1:国によって若干違いますが、私の聞いた限り「カヴァール」と「ヴァ」の部分にアクセントを置く場合が多いです。ブルガリア、トルコ共に、綴りは「kaval」(キリル文字をラテン文字に置き換えた場合)なのですが、トルコでは「v」の字を「ヴ」よりは「ウ」に近く発音するので、「カゥワ〜ル」って感じに発音すると意外と通じます。マケドニアの場合は「kavali」と「i」が入ったり、もっと全然別の名前で呼ぶ国もあります。私の場合、日本人同士でしゃべる時は、カタカナ言葉として頭にアクセントを置いて「カヴァル」、現地でしゃべる時は、なるべくその国の発音に近づけるようにしてます。

Q2:羊飼いってまだいるの?そしてカヴァルを吹いてるの?
A2:羊飼い自体はもちろんいます。いなければ羊肉も食えないしセーターも着れないですし。ただ、笛を吹いて暇を潰すという伝統は、私の読み聞きする限りどこの国でもかなり以前に途絶えてしまったとのことです。代わりに新聞を読んだりラジオを聴いて暇を潰す羊飼いが多いとも聞きます。

 また、20世紀の間に農村の人口が激減し、元羊飼いやその子供たちが都市に移り住むようになった事情が何より大きいでしょう。ブルガリアの場合、まず共産党政権下を経て農村と都市部の人口が逆転し、次いで民主化されると新たな仕事を得るためにソフィアやプロヴディフのような大都市に人口が集中する現象が加速されました。都市は拡大を続け、中心部の地価は高騰し、日本の首都圏のような「ドーナツ化現象」まで起きているということです。いずこの国も同じですね。

 羊飼いの奏でるカヴァルの音は、国内や海外のフィールドワーカーの手により録音されたCDで聴くことはできるのですが、やっぱり生で見るのがロマンですよね。集団の伝統としては失われたとしても、まだどっかにいるんじゃないか?との気もします。一度見てみたいものです。

 あ、今思い出しましたが、トルコのイスタンブール新市街にある、イスティクラル通りというメインストリートを歩いていると、ごくたまに半分物乞いのようなカヴァル奏者が、リコーダー型の小さいディルリカヴァルをピロピロ吹いてますよ。私の見た何人かは、有名な民謡の一節や、延々とピロピロ吹くだけの即興(と言えるのかも謎)を吹いていました。あれきっと、田舎から出てきた元羊飼いじゃないでしょうか?う〜ん、何とも複雑な気分になる、羊飼いとカヴァルの現在形でした。。


写真:カヴァル吹きでも物乞いでもないですが、イスティクラル通りにてサズ弾きのお爺さん。

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